飼料情勢から考える飼料自給率②

まず、前回の炭水化物についてですが、当然糖も必要なわけであり、飼料の発酵保存性を考えた場合には、調製飼料中の糖は非常に大きな役割を果たします。
 
さて、次にタンパク質についてです。タンパク質については、主として北海道では、RDP(特にSIP)が充足されやすくなります。
一方、都府県では、真逆の地域が多くなっています。その結果が、MUNの平均値の違いに表れています。
トウモロコシだけ見ると、北海道のテンプレート系は、実の比率が高いのでデンプンの利用によってMUNは下がるはずなのです。しかし、それを上回る、RDPを生産、供給しているのが今の北海道の粗飼料情勢です。
さて、話は、都府県に戻って、極端に言えば、ルーサン(アルファルファ)乾草を使わなくても良いメニューを組むにはどうしたら良いか?高いハイプロ飼料を使わないようにするにはどうしたら良いか?自給飼料生産は、何を行えば良いか?
それは、アルファルファの栽培 イネ科牧草の早刈がおススメです。
まず、アルファルファについては、土壌を選ぶということ。都府県には、アルファルファ根粒菌が少ないということに注意せねばなりません。また、梅雨がある都府県の場合は、湿地での栽培適性が低いアルファルファはかなり苦戦します。いずれ機会があれば詳しく書きたいと思いますが、本格的なアルファルファ栽培開始の前に、通常秋播きイネ科牧草を栽培しているのであれば、アルファルファ10aあたり数百グラムでよいので混播すると土壌中に根粒菌を定着させることが出来ます。複数年で取り組むプロジェクトを組むと良いでしょう。次にイネ科の早刈りですが、例えばイタリアンライグラスでは出穂前の刈取と出穂後の刈取で分析中のCP(粗タンパク質)が3~4ポイント変動することもあります。乾物(DM)で5kg給与している場合に、4ポイント高ければプラス200gCP供給源となります。このように既存の粗飼料の特性を掴み、メニューを組むことにより、飼料コスト低減、生産性の向上が望めます。あとは、しっかりと現場の牛群状況を見て判断、アドバイスをくれる業者と取引すべきでしょう。また、自分たちの扱う配合飼料や単体飼料だけをごり押ししてくる業者はもっての他です。
絶対これがベストの答えだというものがない自然相手、生き物相手の農畜産業において客観的な視線を持たなくてはいけないと私も考えさせられる状況に出会うことが日々あり、まだまだ勉強の身ではありますが。