イタリアンライグラスという草

 
 都府県において最も多く利用されている牧草は、イタリアンライグラスではないだろうか?
 
 最近では、北海道でシバムギなどの地下茎雑草を抑えるためにも使われている。
 
 このイタリアンライグラスの特性を理解している人というのは意外にも少ない。
 
 まず、何故、イタリアンライグラスがこんなに使われるようになったかと言うと、
 
「量がとれる」 「比較的嗜好性が良い」 「栄養価の割に種子が安い」と言ったところが主因と推測される。
 
どうして都府県のほとんどで一年草となるイタリアンライグラスは量がとれるのか?ということを
 
考えたらわかるのだけど、 分かりやすく言うととにかく『窒素、カリウムの吸収が良い』作物だから。
 
イメージ 1
 
この写真をみたらわかる通り、筋になって、ボリューム感があるところと無いところがはっきりしている。
 
この圃場は、インジェクタを使用して施肥してあるため、このような縞模様になっている。
 
最近は、低カリウム、低硝酸態窒素蓄積型の品種も開発されているが、まずは、施肥の部分を見直すことを
 
お勧めしたい。
 
特に追肥のやり方については、改善が必要なケースが多い。
 
いつやっていますか?おそらく収穫前1ヵ月くらいという方が多いのでは無いだろうか?
 
これでは、どんなに良い品種をつかっても硝酸態窒素の蓄積につながりやすく、
 
粗タンパク質が上がりやすい。反比例して、糖は下がる。結果的にサイレージの品質が低下する。
 
さらに単肥でなく、化成、BB肥料(または、スラリー、原尿)などでカリウムが多量に供給された場合は、
 
緩衝作用が働き、ますますサイレージのpHが下がらない。
 
イタリアンライグラスは、窒素もカリウムも贅沢吸収と言って、必要量以上に吸いまくる。
 
要は、人間と同じで腹八分目が良いということ。
 
どうしても追肥をするという方は、収穫時には、肥料切れかもしれないね。と、いうくらいが
 
ベターです。
 
こうする事によって、量が獲れ、品質が良く、嗜好性、栄養価が高いというイタリアンライグラスが持つ
 
良い特性が姿を現すはずです。
 
これに関しては、売ってる種屋やエサ屋、指導機関がもっとしっかりとしないといけないことだと思う。
 
特に最近は種屋の人間のレベル低下がひどい気がする。売れれば良い。安ければ良い。
 
そんな時代では無いはずなのに・・・